「丁寧に暮らす。いつもの何気ない一日」

"ピピピッ ピピピッ ピピピッ"
妙にアナログ感のある、騒々しいけれど、なぜか少し落ち着く
古い目覚まし時計の音で毎日が始まる。

家族を起こさないように、すぐに目覚まし時計を止めて、
静かにリビングへ向かい、部屋のカーテンを開ける。
今日は快晴。
カーテンを開ける瞬間に、待ってましたとばかりに
部屋の中に飛び込んでくる朝日の光が、一日の中の最初の幸せだ。

観葉植物に水をあげて、庭のバジルを切り取って朝食を作る。
お気に入りのコーヒー豆を挽いて、ドリップを始める頃に家族が起きてくる。
目覚めと共にコーヒーの香りを感じられる家族が、私は少し羨ましい。。

朝食を済ませて家族を見送ってからは、
少し一息ついてから、家事を始める。
毎日の掃除と、曜日ごとに決めている週に1度の掃除。
今日は窓の網戸のお掃除の日だ。

思っていたよりも早く掃除を終えられたので、
ダイニングテーブルのメンテナンスをすることにした。
天然素材の温もりが伝わる木のテーブルにオイルを塗り込む。
少し爽やかで、でも野暮ったいようなオイルの匂い。嫌いじゃない。

テーブルが乾くまで使えないので、
ソファに座って、昼食と合わせてティータイムを取ることにした。
ご近所さんにもらった、紅茶を入れてみる。
あまり詳しくないけれど、きっと高いんだろう。缶のデザインが凝っている。

少し小さめの私の車を走らせて、お買い物に行く。
スーパーまで車で片道15分。
お気に入りのアルバム1枚も聴けない時間だけど、
音楽を聴きながら、今日の夕飯のメニューを考える。

今日の夕飯は、シチュー。
週に3回だけ開けているパン屋さんが開いていたので、
大きいバケットを買ったので、パンを食べる為にシチューにした。
野菜のゴロゴロ入ったシチューは、寒いこの季節にはとても沁みる。

メンテナンスを終えたダイニングテーブルに食器を並べて、
家族で囲んで、夕飯を食べる。
みんなの顔が見合えるように、と決めた丸いダイニングテーブル。
今日の出来事や、明日のこと、他愛もないことを話しながら、
家族団欒で過ごすこの時間が、一日の中の一番の幸せだ。

一日の家事を全て終えて、子どもがベッドについた頃、
私たち夫婦の晩酌の時間が始まる。
あまりお酒が強くない私は、ワインを1杯だけ、毎日呑む。
間接照明の落ち着いた光の中に、ゆっくりとした時間の流れ。
少し赤らんでいる私たちの顔。
「今日もありがとう。」と、それぞれへの感謝の気持ちが、
毎日の締めくくりの幸せ瞬間だ。